スピンオフWEB小説「ネクロス国の死霊魔術」―死霊魔術と5体目のメイドドール【第二話】

カテゴリ: その他

 毎週金曜日に配信!シナリオ関係でお世話になっている「株式会社共幻社」さんと共同ではじめました「ネクロス国の死霊魔術」のスピンオフWEB小説の第二話です~。

 

<本編の概要>

 死霊魔術を扱う種族が集まった”ネクロス国”を舞台とした、女王「アンジェリカ」とその家臣「レイミ」。今回は侯爵より、メイドドール4体を納品するよう依頼を受けますが…なんと、そこにあるはずもない5体目のメイドドールが!アンジェリカとレイミ、そしてメイドドールたちが織り成すドタバタ劇をお楽しみください。

 

⇒目次はコチラ!

 


第二話  依頼のメイドドールは、四体ですよ?

 

一週間後──

 

「──ただいまー!」

 

 アンジェリカが、意気揚々と帰城した。

 

「やー、有意義な公務だった! 触腕を含まない胴体だけで20mもあってな!」

「やっぱりイカを見に行ったんじゃないですか、もう……」

「まあまあ、固いこと言いっこなしだ。依頼、上手く行ったようじゃないか」

 

 玉座に腰掛けながら、アンジェリカが言葉を継ぐ。

 

「帰ってきたとき、ちょうど、魔法馬車に乗り込むメイドドールたちを見た。少なくとも、見た目は完璧だ」

 

 レイミがえへんと大きな胸を張る。

 

「中身も完璧ですよ! 一糸乱れぬ”もえもえきゅん”、是非女王に見せたかったですわ」

「たったの一週間で五体ものドールを錬成するとは、レイミも成長したものだ。私の後を継ぐのもそう遠くないかもしれん」

 

 アンジェリカが、遠い目をして呟く。

 

「そしたら私はイカの研究者になるんだ……」

「?」

 

 レイミが小首をかしげた。

 

「依頼のメイドドールは、四体ですよ?」

「……?」

 

 アンジェリカも小首をかしげる。

 

「しかし、馬車に乗ったのは確かに五体──」

「あ」

「……なんだ、その不吉な”あ”は……」

「ちょっと、確かめてきますう!」

「待て、事情を──」

 

 不意に駆け出したレイミを、アンジェリカが追いかける。

 レイミが飛び込んだのは、ドールの保管室だった。

 

「──いない! いない、いない、いないし、ない!」

「だから、何が!」

「……怒りません?」

「……たぶん怒る」

「じゃ、やめときます」

「でも、言わなかったらもっと怒る。夕飯がイカリングでも食欲が湧かないくらい怒る」

「ひ~!」

 

 ひとしきり頭を抱えたあと、観念したようにレイミが口を開いた。

 

「……その、ですね。一週間で四体という依頼は、私ひとりではなかなかに難しく、睡眠時間が削られてて……」

 

 両手の人差し指をつんつんと合わせながら、レイミが続ける。

 

「それで、一度だけ、錬成中に居眠りをしてしまったんです……」

「……続けろ」

「そのときに生まれた子なんですけど、メイドの適正がなくて、仕方ないので保管室で待機してもらってたんです」

「失敗したわけだな」

「あるいは解釈によってはそう表現することができなくもない感じで……」

「──…………」

「あと、メイド服も一着なくなってます……」

「つまり、だ」

 

 アンジェリカが、口角をひくひくと震わせる。

 

「失敗作のぽんこつが、他の四体のメイドドールと一緒に、公爵の元へ向かってしまったと」

「はい……」

 

 アンジェリカの表情は、苦い。

 当然だ。

 大国アポロニアの公爵などという発言力の大きい人物にドールの品質を疑われては、ネクロスの評判が地に落ち、依頼が激減しかねない。

 それは、ドールの輸出によって国家の体裁を保っているネクロスにとって、致命的な一撃となり得る。

 

「──回収に行くぞ。馬車を飛ばせば、まだ間に合うかもしれん」

「あの、その、怒らない……ん、ですか?」

「怒ってる」

「ひ」

「だが、お前に仕事をまかせたのは、私だ。責任は私にある。

「──…………」

「後悔先に立たず。だが、失敗しない人間などいない。失敗した事実を変えられないのなら、挽回するまでだ」

「……はい!」

 

 こうして、アンジェリカとレイミの両名は、ドールたちを乗せた魔法馬車を追うのだった。

 

≪第一話 第三話≫

 

☆☆☆次回へ続く☆☆☆
来週金曜日の公開予定、お楽しみに!

 

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 編集プロダクションとして書籍の編集校正・シナリオ作成などを請け負うほか、出版社としては電子書籍の発行、小説コンテストの開催といった企画を継続して行っています。『創作をもっとおもしろく』をモットーに、クリエイターの皆さまと連携しながら、より魅力的なコンテンツを作り出したいと考えています。

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