スピンオフWEB小説「ネクロス国の死霊魔術」―死霊魔術と5体目のメイドドール【第七話】

カテゴリ: その他

 皆さまどうも!こんにちは!毎週週末に配信、シナリオ関係でお世話になっている「株式会社共幻社」さんと共同ではじめました「ネクロス国の死霊魔術」のスピンオフWEB小説の第七話を配信いたします!

 

<本編の概要>

 死霊魔術を扱う種族が集まった”ネクロス国”を舞台とした、女王「アンジェリカ」とその家臣「レイミ」。今回は侯爵より、メイドドール4体を納品するよう依頼を受けますが…なんと、そこにあるはずもない5体目のメイドドールが!アンジェリカとレイミ、そしてメイドドールたちが織り成すドタバタ劇をお楽しみください。

 

⇒目次はコチラ!

 


第七話  抗魔の毛皮

 

「──こっちの水は、あーまいぞッ、と!」

 

 宙を駆けるアンジェリカが無造作に振った腕から、弧状の魔力が放たれる。
 薄く鋭い魔力のヴェールが、ギロチンのように、二体の魔狼の首を落とした。

 

「……Gr」

 

 フェンリル級の魔狼が、アンジェリカの存在に気づき、

 

「Woooooooooooooooooooooo──……!」

 

 そして、高らかに吠えた。

 

 アンジェリカが苦々しく口を開く。

 

「魔狼は群れで行動する魔獣だ。今の遠吠えは、恐らく……」

「さっきの十一頭が戻ってくる前に、逃げましょう!」

「──いや、まだだ。さすがに、ただの獣ではないな」

 

 フェンリル級の魔狼が、アンジェリカたちと魔法馬車とのあいだに立ち塞がる。

 

「私たちの狙いを理解しているとしか思えん」

「そんな……」

「だが、それならそれで構うまい」

 

 アンジェリカが、にやりと口角を上げた。

 

「──レイミ! 距離を取って魔法弾を放つ! 形状は、減衰しにくい棘状で行くぞ!」

「了解です!」

 

 百メートルほどの距離を空け、アンジェリカとレイミが魔狼に攻撃を仕掛ける。
 しかし──

 

「ちっ」

 

 アンジェリカが舌打ちする。
 魔狼は動かず、棘状の魔法弾をその毛皮で悠々と受け止めていた。

 

「抗魔の毛皮は、伊達ではないな……」

「あれがあるから、大きな魔狼は近接で倒さないとダメって聞いたことあります」

「気くらい引けると思っていたが、随分と頭が回る」

「どうしましょう、どうしましょう……!」

 

 もはや無策となったレイミが、頭を抱えてうずくまる。

 

「……仕方あるまい」

 

 アンジェリカの視線が、フェンリル級の魔狼を射抜く。

 

「避けざるを得ない一撃を放つ。私の、奥の手のひとつだ」

「女王、なにを──」

「今の私がこれを放てば、恐らく数分は気を失うだろう。避ければ狙い通り、当たれば御の字だ」

 

 アンジェリカがレイミに微笑みかける。

 

「……レイミ、あとは頼んだ」

 

 アンジェリカが、重ねた両手を前方に伸ばした。

 

「其は、矢。
 矢のように放たれ──

 其は、針。
 針のように穿ち──

 其は、矛。
 矛のように、貫く」

 

 ──キンッ!

 

 金属音が鳴り響くと共に、無数の小魔法陣で紡がれた球体が、手のひらの先に浮かび上がった。

 

「彼の者に、撃ち抜けぬものなし」

 

 ふっ、と。
 アンジェリカが、球体に息を吹きかける。
 その唇から放たれた灯火が、小魔法陣をくぐる。
 キン、キン、キンキンキンキンキンッ!
 灯火は、魔法陣に触れるたび、反射、加速、増幅し、やがて光速に至る。
 中空だった球体が光で満たされ、
 アンジェリカは、それを、矢をつがえた弓のように引き絞った。
 引き伸ばされた球体が、一本の光の線と成す。

 

「──閃け、”ヴィジャヤ”!」

 

 アンジェリカが奥の手を放つ。
 すべての存在を分け隔てなく、穿ち、貫く、光の矢。
 彼の矢の前では、どんな盾も、どんな壁も、どんな魔法も、意味はない。
 魔狼は、その危険性にいち早く気づいたのか、”ヴィジャヤ”が放たれる前にその場から飛び退いていた。
 光の矢は、空気のみを灼き焦がし、周囲に独特の匂いが立ち込めた。

 

「──ぬ、ぐ……」

「女王!」

 

 レイミが、落ちてきたアンジェリカを受け止めようとして、

 

「ぐげ」

 

 思いきり下敷きになっていた。

 

「……な、ん、の、これしきー!」

 

 気絶したアンジェリカを抱き起こし、なんとか背負う。

 

「ぽんこつちゃん、頑張って……!」

 

 レイミの視線の先には、魔法馬車の元へ駆け寄るぽんこつドールの姿があった。

 

 

 

≪第六話 第八話≫

 

☆☆☆次回へ続く☆☆☆
来週金曜日の公開予定、お楽しみに!

 

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