スピンオフWEB小説「ネクロス国の死霊魔術」―死霊魔術と5体目のメイドドール【第八話】

カテゴリ: その他

 皆さまどうも!こんにちは!毎週週末に配信、シナリオ関係でお世話になっている「株式会社共幻社」さんと共同ではじめました「ネクロス国の死霊魔術」のスピンオフWEB小説の第八話を配信いたします!

 

<本編の概要>

 死霊魔術を扱う種族が集まった”ネクロス国”を舞台とした、女王「アンジェリカ」とその家臣「レイミ」。今回は侯爵より、メイドドール4体を納品するよう依頼を受けますが…なんと、そこにあるはずもない5体目のメイドドールが!アンジェリカとレイミ、そしてメイドドールたちが織り成すドタバタ劇をお楽しみください。

 

⇒目次はコチラ!

 


第八話  ぽんこつドールの胸を焦がすもの

 

「──ごしゅじんさまッ!」

 

 ぽんこつドールが、歪んだ魔法馬車の扉を無理矢理に開け放つ。

 

「──! 君、は……」

 

 閉じ込められていた老齢の男性──公爵が、驚きに目を見開いた。

 

「ごしゅじんさま、けがしてます……」

「かすり傷だよ。それより、御者を。頭を打ったようなんだ」

「はい!」

 

 ぽんこつドールが、小太りの御者をひょいと肩に担ぎ上げる。

 

「君は、力持ちなのだな……」

「いきましょう。女王さまたちが、がんばってるうちに!」

「ああ」

 

 客車を出たふたりは、魔狼に見つからないよう細心の注意を払いながら、その場を後にする。

 だが、事はそう上手く運ばなかった。

 アンジェリカたちを警戒して距離を取っていたフェンリル級の魔狼が、偶然、彼女たちの前に立ち塞がったのだ。

 

「ひ──」

「──…………」

 

 数十メートルの距離を置いてすら見上げるほどの威容に、ぽんこつドールはたじろぎ、公爵は観念したように目を閉じた。

 背中を向けて逃げたとしても、意味はない。

 そちらに警備隊はいない。

 いずれ追いつかれて、食い殺されるだけだ。

 

「……!」

 

 ぽんこつドールは、深呼吸をひとつすると、御者をその場に横たわらせた。

 

「ごしゅじんさまは、ぼくが守ります。だから、心配しないで」

「君──」

 

 公爵の言葉を待たず、ぽんこつドールが魔狼の元へと駆け出す。

 ぽんこつドールの胸を焦がすものは、諦めではない。

 

 それは、勇気だった。

 

「其は、矢!

 矢のように放たれ──!

 

 其は、針!

 針のように穿ち──!

 

 其は、矛!

 矛のように、貫く!」

 

 遠くから、詠唱が聞こえる。

 それは、レイミの声だった。

 

「彼の者に、撃ち抜けぬもの、ないったらないんだから……ッ!」

 

 それは、あり得ないはずの二撃目。 “ヴィジャヤ”は、法則すら焼灼する最高等魔術である。

 放たれた不格好な光の矢は、光速で転移し、フェンリル級魔狼の右前足をこの世から消滅させた。

 

「Grroooooooooooooooooooo──!」

 

 フェンリルの魔狼が、悲鳴を上げる。

 

「──いまっ!」

 

 ぽんこつドールの右手から、魔力の糸が伸びる。

 糸は、身の丈ほどもある大剣の形に編み上がり、実体化した。

 まるで半身であるかのように手に馴染む大剣を、ドールが振るう。

 狙うは、首。

 右前足を唐突に失い、魔狼は前傾姿勢となっている。

 

「ああああああああああああああああああああああッ!!!」

 

 ぽっ、と。

 ぽんこつドールの足元に、波紋のように魔法陣が展開する。

 それは、先程アンジェリカが見せたものとよく似ていた。

 

 ──一閃。

 

 魔狼の首が半ばほど斬り裂かれる。

 だが、それで終わらなかった。

 上空数十メートルほどまで飛び上がったぽんこつドールが、大剣を構えて落下する。

 

 ──二閃。

 

 完全に斬り落とされた頸部から、血しぶきが飛び散る。

 それを真正面から浴びながら、ぽんこつドールは公爵に笑いかけた。

 

「……ご、しゅじん、さま……」

 

 そして、魔狼の胴体と共に、その場に倒れ伏した。

 

「──!」

 

 公爵が、ぽんこつドールを抱き起こす。

 魔狼の血液で服が汚れることも厭わず、ドールの呼吸を確かめる。

 

「……よかった」

 

 ほっと息を吐き、公爵はドールに話し掛けた。

 

「早く起きておくれ。私は、君に、礼を言わなければならないのだから」

 

「──……すう」

 

 ぽんこつドールの寝息は、安らかだった。

 

 

 

≪第七話 第九話≫

 

☆☆☆次回へ続く☆☆☆
来週金曜日の公開予定、お楽しみに!

 

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